台帳に存在しない一本のフィルムが見つかった。
タイトルも、上映日も、制作年も、記録されていない。
ただ缶の側面には、小さく「僕たちの映画館」とだけ書かれていた。
調査のために開かれる、たった一度の試写。スクリーンの中で、物語は静かに破綻しはじめる。映画の中の人物が、客席に向かって電話をかける。次の瞬間、ホールに置かれた古い電話機が鳴り出す。
「わたしたちが本当に伝えたかったことを、知ってほしい。」
あなたは観客でありながら、映画の外側にいられなくなる。閉じかけた物語の中へ入り、登場人物たちの証言を集め、この映画の結末を選びなおす。
普段はTRPGのシナリオを書いたり、配信したりしていますが、たまに体験できる物語を考えたりもしています。
映画の中に入っても、どうせ大したことはできない気がしています。自分の人生すら自分が主人公だと思えていないのに、映画に入ったからって急に変われるわけがない。でも何かのきっかけになるような、物語を通じてようやく気付けることがあるんじゃないかと、主人公になるためのピースが落ちているんじゃないかと、そんなことを考えながらお話を作っています。